こんにちは、かぴ男です。エアラインパイロット10年やっていました。
最近話題のJALのエンジントラブル。映像見ました?やばくないすか?元パイロットの僕から見ても、あれはやばい(涙)だって・・・
本記事では、エンジントラブルの時、「パイロットは何を考えているのか」「お客様はなにをしたいいのか」を、具体的にご紹介します。
本記事を読めば、あなただけは、死なずに済みます。まだまだ、愛する家族と一緒に、飛行機で旅行したくないですか?
https://www.youtube.com/watch?v=axmI2f7t79M
JAL904便 那覇発 エンジントラブル概要
2020年12月4日、那覇空港出発のJAL904便が、離陸直後、エンジン損傷し、那覇空港に緊急着陸しました。
現時点で、明確な原因はわかっていません。しかし、やばいのはわかっています。元パイロットの僕が思う、やばい点は3つ。
1、エンジンが大きく損傷していること
2、主翼が損傷していること
3、尾翼が損傷していること
エンジンが1つだけ損傷しているだけでは、そこまでやばくありません。詳細はあとで説明しますが、残りのエンジンだけでも、普通に飛んでいけるからです。
でも、主翼・尾翼の損傷は、やばいっす。片方のエンジンが止まっても飛行機は飛べますが、1カ所でも翼を失ったら、飛行機は飛べません。まるで、ロウで固めた鳥の羽のように。
パイロットが考えていること
じゃあ、大きなエンジントラブル時、パイロットは何を考えているのか?
実は、パイロットは2つのことしか、考えていません。
- トラブル対処
- 早く地上に降りる
あなたもご存知の通り、飛行機にはたくさんの警報装置がついています。エンジン1つを取っても、何十個も警報がついていて、一目でわかるようになっています。で、警報装置や計器などから、パイロットはトラブルを予測し、対処します。
今回の場合だと、私の予想ですが、エンジン計器に異常がでたと思います。そして、異常が出たエンジンをパイロット自身が切りました。なぜなら、異常があるエンジンを使っていると、被害が大きくなるからです。このように、パイロットはトラブル対処をします。
次に、「早く地上に降りる」。当たり前な考えなのですが、地上にいれば、最悪、乗員乗客を機外に逃がせるからです。上空では、機外に脱出するパラシュートはありません。
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あなた(乗客)だったら、何をすれば良いのか?
今回の機長の機内アナウンスでもあった通り、パイロット・CAは緊急事態の訓練はしています。
しかし、全く同じ状況は、訓練したことがありません。訓練は、シュミレーターで行うのですが、離着陸するのは、基本的に本社がある空港。例えば、ANA・JAL・スカイマークなどの東京に本社がある会社は、基本的に羽田空港を想定して訓練を行います。
「あんな大きい滑走路で離着陸するんだから、どこも一緒じゃないの?」って、声が聞こえてきそうです。たしかに、飛行機は同じアスファルトの上に離着陸するのですが、空港が違うとめっちゃ違うんです。例えば、今回の那覇空港。離陸してから、1000ftで飛行しなければなりません。嘉手納基地(米軍)の空域のため。
離陸してから1000ft到達するまでの時間は、数秒です。空港によって、離陸方式と進入方式は全く違うのです。この数秒の間に、エンジントラブルがあったら、どうしますか?
トラブル対処に集中していたら高度逸脱してしまったり、高度に集中していたらエンジン燃えてたり、離陸方式や進入方式が難しい空港で、トラブルが発生するとパイロットはパニックになります(笑)
それでは、お客様であるあなたに知っておいて欲しい4つのことを、ご紹介します!
1、基本エンジン1つでも飛べる。
エンジントラブルの際、まず、あなた(お客様)に知っておいて欲しいことは、「エンジン1つでも、余裕で飛べる」ということ。上昇もできるし、日本国内ならどこでもエンジン1つで飛んでいけます。極端な話、羽田離陸後、エンジン1つ停止しても、エンジン1つ生きていれば、那覇まで飛んで行くことができます。
ただ、パイロットとして危惧することは、「1つのエンジントラブルだけじゃないかも?!」って、こと。1つ壊れてるんだから、もしかししたらもう一つも・・・
2、乗務員の指示に従う
当たり前のことですが、客室乗務員の指示に従うことが大切です。乗客を守る最善の術は、航空法で決まっており、航空法を守ってお客様に指示するのが、客室乗務員とパイロットです。あなた(お客様)が思う最善策は、全くと言っていいほど、最善ではありません。
3、着陸後に滑走路上で、緊急脱出になるかも?!
エンジントラブル位なら、着陸後、滑走路上で緊急脱出の可能性は低いですが、エンジン火災なら間違いなく滑走路で脱出します。過去にもANA機が、高松空港で緊急脱出しています。
ただ、緊急脱出の実施は、トラブル次第・パイロット次第です。だから、トラベルで引き返す場合は、滑走路上で緊急脱出になるかもしれないので、準備をしておくことが大切です。
4、死ぬかもと考える。
御巣鷹山で墜落したJAL123便。たくさんの遺書が見つかりました。123便の事故は、大きな揺れや振動で、上空で死を間近に感じれたので、遺書を書くことができました。
でも、あなた(お客様)が普通に飛んでいると思っても、実は普通じゃなかったりします。ですので、愛する家族の為、トラブルの際は遺書を書いてもいいかもしれません。過去のデータから、99%は墜落しません。でも、残りの1%だったら?残された家族は、悔いしか残りません。
まとめ
本記事では、エンジントラブルの時、「パイロットは何を考えているのか」「お客様はなにをしたいいのか」をご紹介しました。いかがだったでしょうか?
航空業界、まだまだ、お客様には知られていない世界があります。少しでも、あなたの空の旅が、安全で、わくわくの溢れるフライトになったら、幸いです。
このブログでは、あなた(お客様)には知られていない、空の世界を、嘘偽りなく、あなただけにご紹介します。
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